新型コロナウィルス感染への不安
緊急事態宣言は解除となったとはいえ、まだまだコロナ禍が収束したと言い難く、ストレスの多い毎日を過ごしていることと思います。
感染症のリスクへの対処として、学校や幼稚園を閉じ、お店も閉め、外出に厳しい制限を加えてきたこの3か月。世界的なパンデミックという緊急事態ですからいたしかたないとはいえ、社会のあり様まで変えてしまうほどの徹底した感染症へのリスク回避対策です。これにより、今は、様々な別のリスクが生じています。経済的な破綻への不安もヒシヒシと迫ってきましたし、子どもたちの学習の遅れや心理的な不安定さを心配する声も聞こえてきます。たいへんなのは、これからなのかもしれません。
「リスク」の本質からいえば、どういう選択をしたとしてもゼロリスクということはあり得ず、こちらのリスクを押さえれば別のリスクが顔を出す、そういうものです。感染症のリスクが、あらゆるリスクに目をつぶっても抑え込むことが必要だったのか、その判断は今後の展開が明らかにしていくことでしょうが、このリスクに満ちたコロナ禍を、少しでも悪影響を軽減するために、より良く管理(マネジメント)することが大切です。不安な毎日ですが、なんとか踏ん張りたいものです。
親子のストレス対処法
国立成育医療研究センターのこころの診療部リエゾン診療科が発信されている「親子でできるストレス対処法」が素晴らしく、私の考えるリスクマネジメントとも一致するものですので、一部紹介したいと思います。
出所:https://www.ncchd.go.jp/news/2020/20200410.html
ヘルスリテラシー=「健康に関して適切に意思決定をするために、必要な情報を調べ、理解し利用する能力」として、上記の図で解説されています。これは、リスクマネジメントの過程とほぼ同じです。そして、こう書かれています。「幼児期の半ばにはすでにその能力を獲得していると言われています」。つまり、子どもはちゃんとした情報があれば、それを理解し自らの意思で決定できる存在であるということです。だから、大切なのは、わかる言葉で、わかる方法で情報を提供し、自分で考え、選ばせてあげることです。
伝え方のコツ
●正しい情報を、ごまかさず、正直に
その子の年齢に合った言葉で
●一度にひとつずつポイントをしぼって
目に見える形で(イラストや動画など)
●誰かのせいではなく、目に見えないウィルスのせいであることを伝えましょう
気を付けること
●映像やニュースを見せすぎないようにしましょう
●小さい子は・・・
過去の映像を見て、現在のこと、自分のことと捉えて、不安になることがあります
●大きい子は・・・
SNSなどから自分で情報を得て、うわさやデマの被害に遭うおそれがあります
子どもたちが情報を自分で考え、意思決定をするための支援としては、
1、安心と安全を保証しましょう
●日常を維持する
就寝と起床、食事、勉強をいつもを同じ時間で!
●子どもと一緒に考える
お約束の確認(留守番、外遊び、感染予防など)
●親の存在は子どもの安心・安全に不可欠。
メリハリをつけて定期的にコミュニケーションを。
2、子どもの気持ちを聴きましょう!
「聴く」というのは、実はけっこう難しいのですが、コツがあります。
●状況を聞くのではなく、気持ちを聴く。
「どうしたの?」と言うよりも、「どんな気持ち?」と。
●「イヤだ」「キライ」「コワイ」など否定的な気持ちも、受け止める。
「そうなんだ、イヤだったんだね」とオウム返しでOK
アドバイスをしなければと考えるのではなく、ただただ聴く!
3、子どもと一緒に予定を立てよう!
できることは何? 具体的にできることを考えましょう。
●子ども自身が考えることが大切。
自分で決めたことなら実行につながります。
●親からすれば「ン?!」と思うことでも、出来たことをほめましょう。
自己肯定感を高めるチャンスです!
そして、親自身のセルフケアが大切だと、締めくくられています。一日1度は、自分の心の状態をチェックし、リラックスタイムを!親も子もがんばり過ぎないことが大切です。弱音を聴いてもらえる人と繋がっておきましょう。
(子どもの傷害予防リーダー 松野敬子)
プロフィール
社会安全分野 / 学術博士 専門は、子どもの遊び場のリスクマネジメント
(一社)いんふぁんとroomさくらんぼ代表理事
Safe Kids Japan子どもの傷害予防リーダー
日本技術士会登録 子どもの安全研究グループ研究員
著書:『子どもの遊び場のリスクマネジメント』(2015)ミネルヴァ書房
『 遊具の事故防止マニュアル』(2006)かもがわ出版
京都新聞夕刊「現代のことば」執筆中。次回は8月に掲載予定。
不安な子どもたちをエンパワメント
「ピタ、パタ、ゴロン ー stop drop and roll」をラップで広めよう!
非常時に際して、子ども自身が自分の力を信じることができるようにメッセージしてあげることが大切です。不安に満ちた毎日を過ごすことで、安心感だけでなく、自信をなくし、自分で考えて行動するという選択肢も失いがちです。だからこそ、「大丈夫! なんとかなるよ!」と思うことができたなら、不安に打ち勝つ心を持てるはずです。そして、子どもの場合、難しい理屈を学ぶというより、実際に体を使ってやってみることが有効です。
以前にも紹介した、火事の時の自分の身を守るスキル「stop drop and roll」を覚えていますか? 体に火が着いてしまった時に、走り回らず止まり(stop)、寝転がり(drop)そして、ゴロゴロと転がって火を消す(roll)という子ども向けの予防ワークショップです。実は、これは具体的に火を消す方法というだけでなく、「怖いな~」と思っていることに対して、「出来ること」を具体的に教えることに意味があります。何度も何度も練習をしておくことで、「自分にも出来ることがある!」という安心感を子どもたちに育てます。今までの防災訓練は、大人に守ってもらう受け身のものでしたから、発想が違うんですね。
そして、この「stop drop and roll」を紹介してきた子育て支援団体・いんふぁんとroomさくらんぼが、ラップにして動画配信を始めました。「stop drop and roll」は、ちょっと舌を噛みそうになるので、「ピタ パタン ゴロン」と日本語にして、長岡京音頭のラップ版を作ったラッパーEMUBEEに制作依頼。長岡京のゴスペルサークル・マザーグレース、長岡京のキッズダンサーたち、そして、「子どもの傷害予防リーダー( ※ )」ちが、アイデアを出し合った力作です。
YouTubeで配信され、現在、話題沸騰中です!お家で、親子で是非、チャレンジしてみてくださいね。
※子どもの傷害予防リーダー
子どもの傷害予防の第一人者である山中龍宏さん(safekids Japan理事長、小児科医)実施する養成講座を修了した人たち。いんふぁんとroomさくらんぼが、京都府の助成金を使い、京都府内で養成講座を2年連続開催しました。
「stop drop and roll ピタパタゴロン」
https://www.youtube.com/watch?v=mw0YoFhOtiw
日本には東洋医学というスゴイ知恵があります
免疫力をアップしてコロナウィルスに負けない身体に!
感染症への不安はまだまだ続くことが予測されますが、そんな中、「自分自身が本来持っている免疫力を上げることでウィルスに負けない身体をつくりましょう」と言うのは、向日市の小児はり専門鍼灸院・りち鍼灸院の岡崎美枝さんです。
3,000年もの昔から、人々を疫病から救ってきたのが東洋医学。東洋医学の考え方は、身体を守ってくれる免疫細胞を活性化させて、細菌やウィルスに負けない身体にしていこうというもの。免疫力が上がれば、食欲や睡眠の質が改善し、気持ちが前向きになり、その結果として疫病の治療につながっていくのです。
岡崎さんから、セルフケアで免疫力を上げることができる「お灸」を教えていただきました。
家庭でできるお灸
<用意するもの>
・せんねん灸
初めての場合は、ソフト(温度が低め)からがおススメ
・チャッカマンやライター
・灰皿
・白湯など
<いつ?どのくらい?>
時間はいつでもOK。
テンポよく、習慣化していくことが大事です。
<ポイントと注意>
●まずは、1ヶ所から始め、徐々に増やします。
頭がボーっとする時は、やり過ぎ!
●熱い時は、我慢せずに。
我慢すれば、交感神経が優位になりリラックスできません。
●こまめに、水分をとります。
体温に近い温度の白湯がおススメ。お灸により血管が拡張し血流が改善。
白湯を飲めばさらに促進されます。
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