地元ボランティアが支えた注目のタイトルマッチ戦
年の瀬も押し詰まった、年内最後の日曜日。それまでの暖かさから一転、時おりみぞれ混じりの雨粒が落ちてくる底冷えの早朝、大山崎町体育館では、この日の午後開催される「日本ライトフライ級タイトルマッチ防衛戦」の準備が行われていました。
空っぽの大体育館に、まず、隙間なくシートが敷き詰められ、その後、リングの組み立てと並行して、1200台の椅子が並べられていきます。ひとつひとつ、傷みがないかチェック。布できれいに拭かれ、通し番号のシートが貼られ…。効率よく、てきぱきと働く人々の手によって、予定時間よりずっと早く、立派なボクシングの試合会場が出来上がりました。
指揮をするのも、それに従って動いているのも、ボランティアのスタッフたち。中心となったのは、昨秋の「天王山ゆひ(結ひ)まつり」を成功させた、「天王山にぎわい実行委員会」(以下、「にぎわい」)のみなさんです。
イベントごとにパワーアップ「にぎわい」の歩み
「にぎわい」は、昨春、町内でさまざまな活動をしている人たちを線で結ぼうと、町民の有志で発足。会長の島照子(しまてるこ)さんをはじめ、大山崎を愛する、元気なメンバーが集まっています。
はじめて手がけたのは、5月の「天王山夢ほたる公園」のオープニングを飾った「ハートフェスタ」。町へ企画を上げると同時に、町内のグループや飲食店などに協力をお願いして歩きました。20店あまりもの賛同を得て、当日は、パンやコーヒーのほか、アクセサリーや布雑貨などの多彩なブースが並び、地元ギタリストやダンスチームのステージが催されるなどして、出店者も来場者も大いに盛り上がりました。
ちなみに、「ハートフェスタ」は、町がハートのかたちをしていることに由来する命名だそう。
そして秋、これまで町主体で行われていた一大イベント「産業まつり」に代わり、住民主導で開催された「ゆひまつり」。 当初、町民のあいだには、「ほんとうに開催できるのか?」との不安の声も。しかし、ふたを開けてみれば、開会式で甲冑姿の武士が放った火縄銃の空砲音の迫力に負けない盛況ぶり。さわやかな秋晴れのもと、訪れた人たちが心から楽しめる祭りとなりました。
これらの経験をもとに、「ボクシング」でもその実力をいかんなく発揮。地元出身ボクサー堀川謙一さんの大一番を盛り上げたのです。
「野菜市」もはじめましたこれからの「にぎわい」
大きなイベントをプロデュースする一方で、「ユヒノワ市」という農産物市もはじめました。これまでも、朝市などでメンバーの畑でとれた地場野菜の販売をしていましたが、「もう少しこの活動を広げたい」と、考えた島さん。
まずは、地産地消を大切に、町内で販売できる場所を増やす。ゆくゆくは、農産物を提供してくれる農家さんも増やして、「大山崎ブランド」として町外にもアピールしていきたい。「地場のものでジャムやお惣菜などの加工品をつくったり、カフェもできたら」と、夢は広がります。
現在、市を開催している「JA京都中央大山崎支店」の近辺は、スーパーが閉店してしまい、お年寄りを中心に買い物に困っている人が多くいる地域。そのため、「とても助かる」「もっと頻繁にやって」などの声も多く聞かれます。
これからも、地元を元気にするアイデアをどんどん実現し、進化していく「にぎわい」から、ますます、目が離せません。